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特別な才能はない、でも強い好奇心はある。【Venture Stories: Phase.1】

ホテルやってみーひん?

それは2017年のこと。


EARTHMANS TSUGAIKEの立ち上げメンバーのひとりとなる小川大二郎氏(以下・小川さん)の元へ、白馬エリアのアウトドアアクティビティやまちづくり事業を推進しているまちおこしのキーパーソンで、古くからのスノーボード仲間でもある雨宮康平氏から1本の連絡が入った。


「栂池にあるホテルのオーナーさんが後継者を探してるんやけど、一度会ってみーひん?」


同じく小川さんのスノーボード仲間で、全国にFREAK’S STOREを展開するデイトナインターナショナル 鹿島社長と日本中のスノーエリアを旅しながら、いつの日か仲間が集まれる場所を作りたい、という想いを熱く語っていた矢先の吉報だった。

日本有数の極上パウダースノーを求めて世界中から多くのスキーヤー・スノーボーダーが訪れるHAKUBA VALLEY。

近年では生まれ育った土地を離れこのエリアに住みつく外国人も多く、100メートルも歩けば様々な国の言語が聞こえてくるこの場所。外国人による外国人のためのスキースクールやツアーガイドも充実し、まるで日本とは思えないようなカルチャーの混雑ぶりには圧倒される。

それまでにも鹿島社長と小川さんは全国各地のスノーリゾートを視察し、その地域から発信されるウィンターカルチャーを見てまわったのだが、白馬には日本人と外国人が分け隔てなく生活し、この場所を訪れた誰とでもアクティビティを楽しめる環境があった。


これほど魅力的なスノーリゾートは国内でも数少ない。


早速、鹿島社長と小川さんは二人で栂池まで出向いた。

白馬駅から車で約20分。白馬エリアの南方に位置する栂池高原。

紹介された『リゾートホテル栂池』は文字通り、白馬村と小谷村のちょうど境に位置する栂池高原スキー場の麓に建っている。

住所では小谷村となるが、JR白馬駅から車でも15分ほどの距離で、とりわけアクセスが不便なわけではない。しかし、現在栂池高原スキー場周辺には商店や飲食店が少ない。

アウトドアブランドの大型路面店が建ち並ぶ白馬駅前や、飲食店が集中するエコーランド周辺のようにメジャーなタウンガイドに掲載されている場所へ行こうとすると車での移動が必須となるため、必然的に栂池エリアでの滞在時間が短くなる。結果、出店を考えている人たちも集客を考えて選択肢から栂池を外してしまう。

スキー修学旅行発祥の地の記念碑が建つほど、なだらかで横に広いゲレンデは昔から多くのスキー客が訪れ、昭和中期から昭和後期にかけてのスキー全盛期にはメインストリートも大変賑わい、ディスコやカラオケまであったらしい。

街並みに、そんな賑わっていた頃の残影が残っているから余計に今の活気のない街の様子が伝わってきてしまうのだろうか。


それでも近年ではスキー場のメインターミナルであるゴンドラ駅に周辺で栂池エリアの活性化を願う若者たちがCAFÉ&BARをオープンさせたり、大型温泉施設ができたり、空き家となっている古民家を移築し古民家リゾートを開発するプロジェクトが始動したり、少しずつではあるが盛り上がりを見せはじめている。



常々、みんなが集まれるハブになれる場所が作れれば良いと二人で話し合っていたのだが、まさか急にこんなチャンスが転がり込んでこようとは。


これは、ひょんなことから始まった、山岳リゾートでのホテル立ち上げのストーリーである。

馬場 裕一郎
馬場 裕一郎

長野県在住。出版社の編集を経てライターに。 自然豊かな場所で生活しているため、アウトドアやスローライフに関する記事に携わることが多いが、趣味はもっぱらマンガを読むこと、と比較的インドア派。 スマホには常時7つ以上のコミックアプリがインストールされている。