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【Tales & People ~どうやって生きるかは、自分自身で見つける~】 vol.3 ディビス咲子

取材をきっかけに出逢った人たちの魅力や、そこから感じ取ったフィロソフィを書き伝える。

これから旅行を考えている人も、そこで生活する人たちの想いを知ってからその土地を訪れれば旅に奥行きがうまれ、より思い出に残る旅行になるのではないか。


「そんな地域の魅力の発信の仕方もいいんじゃない?」

そう考え、スタートした連載《Tales & People》。


第三回は、前回お話を伺った大石 学さんが「白馬で居酒屋をはじめた頃から、ともに白馬エリアを盛り上げていた戦友」と呼ぶ、ディビス咲子さんに会いに行ってきました。

【大石 学さんのTales & peopleはこちら】


おおらかで包容力のある雰囲気は、みんなのお母ちゃん的存在。

白馬エリアでハンバーガーといえば、真っ先に名前が挙がってくるディビス咲子さん。

まだ白馬がインバウンドブームで盛り上がる以前からこの地に住み、ニュージーランド人の旦那さんと一緒にゲストハウスやバーを展開。


その中で生まれたアイデアからハンバーガーのケータリングをスタート。


ケータリングカーで長野県中のイベントを飛び回り、現在でも人気のハンバーガーとして親しまれています。


取材を通して、このハンバーガーショップが多くの人に支持されているひとつの要因として咲子さんの人柄が大きく影響しているように感じました。


元気でおおらかな人柄がそのまま出ているような喋り声。

周囲の人まで明るい気持ちにしてくれる笑い方は、腹から声が出てる感じ、とでも言うのでしょうか?

白馬五竜エリア活性化の立役者と聞いてやや緊張しながら訪ねたんですが、ひと声でぐぐっと距離を近づけてくれるような包容力のある声。


周辺を車で案内してもらっている最中も運転席越しに知り合いを見つけては窓を開けて声を掛けるし、話を伺っている最中にもいろんな人から電話がかかってきてはお互いの近況報告や世間話。


まさに、みんなのお母ちゃんのような存在感。


そんな様子からも、咲子さんがこの地域とどのように関わってきたのかを感じ取ることができたような気がします。


咲子さんは兵庫県西宮市出身。地元で看護師をしていた頃に知人の紹介で現在の旦那さんと知り合い、結婚。

出会った当時から旦那さんが白馬に住んでいたため、結婚を機にこの地に移住しました。


移住した当初は友達のいない環境や不慣れな雪国の生活でホームシックにもなったようですが、夫婦でゲストハウスを経営しはじめた頃から次第に交友関係も広がり白馬での暮らしにも慣れていきました。


そうなるともう、持ち前の明るさと行動力でやりたいと思ったことを次々に実現していきます。


地域のために始めるということの大切さ。

その活動の中のひとつが、知り合った仲間たちと開催しているクラフトビアマルシェ。

今年で5回目を迎えます。

回を重ねるごとにイベントの認知度も上がり、来場者も年々増え続けているのですが、初年度から会場は雨の影響があった4回目を除いて、ずーっと五竜にあるグラウンドを使用しています。

それも地区で管理している小さな野球グラウンド。


こんなにメジャーなイベントになってきたんだからゲレンデとか芝生の公園とか、もっと良い条件の会場もたくさんありそうなのに、と思ってしまうのですが、咲子さん曰くそれではダメなんだそう。


「元々、ビアマルシェをやり始める前にもこの地域に住む人たちが気軽に参加できるフリーマーケットのイベントなどを開催していました。私が主催するイベントの根底には常に地域のために、というのがあるんです。どうしてもスノーシーズンがメインになってしまうこの地域では、グリーンシーズンの集客が課題。ビアマルシェもビールメーカーさんからは、観光客が多い7、8月にやってほしいなんて声も上がるんですけどね。いくら収支が小さくなっても、イベントをきっかけに少しでもこの地域に宿泊してくれる人が増えて閑散期が盛り上がることのほうが大切だから、人の行き来が少ない6月に開催してるんですよ。そのためには会場も、この地域に住む人たちが地区のお祭のような感覚で楽しんでくれるように、ローカルに密着した気取らない場所でやることが重要なんです。」と、話す咲子さん。


スノーシーズンにもPUB CRAWL と題し、自身が経営する『Tracks Bar (トラックスバー)』とその周辺の飲食店を飲み歩くイベントも企画していたり、自分の店のことばかりではなく、この地域全体を盛り上げることを最優先に考える姿勢が結果として多くの人の賛同を集め、様々なアクションを起こすきっかけに繋がっているんですね。


そんな咲子さんのホーミーな考え方のもとに今年も多くのクラフトビールメーカーや飲食店が集まりました。


長野県内のクラフトビールが一同に集まるので、クラフトビールが好きな方は足を運んでみてください!

【イベントの詳細はこちら】


ほかの地域にはない、白馬の魅力。

どうして、ここまで地域のために力を注ぐことができるのでしょうか?

その要因のひとつが、ほかの地域にはない白馬エリア独特の空気感だといいます。


と、いうのも外国人や移住者の多い土地柄か、白馬エリアは一般社会によくある窮屈な縦社会を感じることが少なく、子どもから大人まで年齢の差や職業の壁を感じないフラットな雰囲気で、海外のように気楽で大変居心地が良いのだとか。


こんな素敵な関係性が築かれているこの地域の文化をサスティナブルなものにしていきたい。

白馬に住んで約17年、移り住んでくる人も、雪国での生活や仕事に行き詰まったりしてこの地から出て行ってしまった人もどちらもたくさん見てきた咲子さんにとって、この地域を盛り上げる活動をすることで、ローカルの人たちも移住者もここで永続的に暮らしていける環境を整えるお手伝いになると考えているんだそう。


そういった取り組みは、やがてこの地域の魅力を外にも発信するきっかけとなり、著名なアーティストや音楽家も数多くこの地を訪れるようになりました。

「こういう活動をしていなかったら、出会えていなかったであろう人たちもたくさんいます。こんなに素敵な出会いあるのも、私自身がローカルとして白馬ライフを心から楽しんでいるからだと思います。」と咲子さんは言います。


咲子さんが継続してきた利他的なアクションが段々と成果を生み、そこに賛同する仲間も増え、ひとつのカルチャーと言えるまでに成長。

そのカルチャーが地域を活性化し、咲子さん自身にも多くの素敵な出会いをもたらしました。

そんな好循環サイクルがHAKUBA VALLEYの南側、五竜の地で続いています。




▼From 大石 学

「咲子さんとの出会いは遡る事二十数年前。当時白馬でイベントを企画したくてその当時からBARをしていた咲子さんを紹介されて相談させてもらったのがきっかけ。あの頃はまだインバウンドによる海外からのお客様も少なく外国人を見かける方が稀でした。そんな頃から今まで常に同じスタンスで生活している先輩。大変お世話になってます、そしてこれからもお世話になります。また、その辺で!」




ディビス咲子

兵庫県出身。結婚を機に白馬に移住。2002年より、白馬五竜にてゲストハウスやバーを展開。現在は五竜エリアを中心にイベントのオーガナイズなどにも携わっている。

馬場 裕一郎

馬場 裕一郎

長野県在住。出版社の編集を経てライターに。 自然豊かな場所で生活しているため、アウトドアやスローライフに関する記事に携わることが多いが、趣味はもっぱらマンガを読むこと、と比較的インドア派。 スマホには常時7つ以上のコミックアプリがインストールされている。

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