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アートがはびこる街、アメ村でアートトリップ

アパレル、飲食、レコード。様々なジャンルのショップが建ちならび、多くの若者が行き交うことから「西の原宿」とも呼ばれるアメリカ村ですが、大阪の地域特性や府民性から独自のユースカルチャーが発展してきたことで、けっして原宿のコピーなんかではない個性豊かな街に。

そんな個性のひとつが街中にあふれるアート。壁一面に描かれた象徴的なものから、街灯のペイント、高架橋や雑居ビルの隙間にひっそりと描かれたものまで、ふと周囲を気にしながらアメ村を歩いてみると、街の至るところでアートを見つけることができます。


街のそこかしこにアートがあふれるアメリカ村

もちろんアートって、見る人の捉え方や解釈次第で感じ方も様々だと思いますが、今回はアーズマンズマガジン編集部の独断と偏見で、アメ村の街にひそむアート散策をご紹介。


「アースマンズ式アメ村アートウォーク」とでも名付けましょうか。


まるで芸術祭のようなアメ村の街並みに一歩足を踏み入れれば、歩きまわるだけでも楽しめるフォトジェニックなスポットがたくさんあるんです。


そんなスポットを巡る、一風変わった小旅行のはじまりはじまり〜



まずはド定番! アメ村のシンボルともいえるウォールアート「ピースオンアース」

アメ村アートウォークをはじめる上で、まず外せないのが関西電力変電所の壁面に描かれている「ピースオンアース」。

多くの媒体で取り上げられていることから、ご存知の方も多いんじゃないかと。

1983年に道頓堀出身のアーティスト・黒田征太郎さんとグラフィックデザイナーの長友啓典さんの手によって描かれたこのウォールアートですが、完成当初は本人たちの意向で1年後には消すつもりだったんだとか。

しかし、消されることはなく今日まで残り続けていることや、時代とともに新たに描き加えられたのであろうと思われるグラフィティが元の絵の上塗りをせず、慕うように共存している様子を見ると、ここに生活する人たちのこの絵に対する愛情を感じます。


でも、じつは本当にアートウォークとして紹介したいのは、その向かい側。


ふと見ると、よくあるテナントビルなんですが、その看板がなかなかアバンギャルド。

イエローカラーのターポリン製の看板に「21世紀のリニアエレベーター↓」と強烈なパワーワード。近未来を待ち焦がれる昭和っぽいレトロでシュールな雰囲気が、ひと際目を引きます。


が、ちゃんと矢印で誘導しているにも関わらず、その先には何も見当たらず……

21世紀までに設置が間に合わなかったんでしょうか?


なにはともあれ、文言の最後尾に下向きの矢印がついているので、アイデア次第でユニークな写真を撮ることができそうですよね。



普通に街を歩いていると見落としてしまう、大巨匠のアート

続いてご紹介するのは、アメ村を普通に歩いていると見落としてしまう、こんな場所にあるの? ってアート。

しかも、これを描いたアーティストが世界的にも有名なあのロイ・リキテンスタインだというのだから驚きです。

ロイ・リキテンスタインといえばアンディ・ウォーホルなどと並ぶポップアート界の巨匠。

彼の名前を知らなくても、そのあまりにも有名なアメコミ風の作画、一度は見たことがあるのではないでしょうか?

そんな世界的に有名なアーティストの作品がクリスタ長堀の上に建つビルの最上部の壁面に描かれているもんだから、歩いている方向によっては、たまたま上を見上げたら偶然見つけられるレベル。

一見、リキテンスタインの作風を真似たパロディかな? と思ってしまうほど面白い場所にあるアートを見上げてみてください。


ひとつひとつ個性のある、ユニークでアーティスティックな街路灯

アメ村の街を歩いていると、必ず目に付くカラフルな街路灯。

そう、街路灯……。んーと、多分、街路灯ですよね?


そう断言するのが不安になってしまうような、変わった形をした街路灯が、アメ村のいたるところに設置されているのですが、これが総じてアーティスティックなんです。

それもそのはず。これらは全て、国内の著名アーティストたちがアメ村にある人型の街路灯をキャンバスに見立ててデザインし、アートにリノベーションするプロジェクト「Red Bull Ignition」内で制作されたもの。


エナジードリンクで有名なRed Bullが2012年よりアメ村の活性化に向けた継続的かつ長期的サポートを目的に、アメ村エリアにある全50基の街路灯にアートの翼を授けるプロジェクトで、毎年数名のアーティストが選出され、各人の感性で街路灯をアート作品へと生まれ変わらせています。


ぜひ、自分だけの推し街路灯を見つけてみてください。


こんなところにどうやって? 制作風景の想像を駆り立てられるアート

アメ村の街を歩いていると一風変わった場所に描かれたアートも見つけることができます。そもそもグラフィティはストリートで普及してきた落書きの文化ですから、本来は描くことにリスクのある、建物の壁や高架橋に描かれた作品こそ、「ストリートアート」と呼ぶにふさわしいのでしょう。

まさに、そんなテーマにふさわしい場所に描かれている作品のひとつがこちら。

阪神高速四ツ橋入口ICの真下にある駐車場の橋脚に描かれたアートなのですが、サーカスの風景なのかな?

動物が玉乗りをしたり、ピエロが逆さまになっていたりする賑やかさと、モノトーンの静寂さのギャップがミステリアスな雰囲気を感じさせる作品です。

高速道路の高架橋下というストリートらしい場所にありながら、タギングやグラフィティではないファンシーでミステリアスなアートの心地よい違和感は、なかなかフォトジェニックですよ。


続いて、こちらはスターバックス四ツ橋店の左隣にあるビル解体現場のグラフィティ群。

工事用フェンスにこれでもか、というほど描かれたグラフィティアートだけでも十分ストリートな感じなのですが、注目すべきはその見上げる先にある建物の倉庫壁面に描かれた作品。

断崖絶壁な超リスキーな場所にありますが、よ〜く見てみると数十センチほどの足場があるようにも見えるんです。

果たして、そのギリギリの足場を使って落下の危険を顧みずに描いたのか、それとも隣のビルの解体前には安全な足場が確保されており、その時に描かれたものなのか。

はたまた、命綱を使った壮大な作品なのか。そんな妄想を楽しみながら、ストリートアートを楽しむのも良いかもしれません。


ホテルの屋上にある、今大注目のアーティストが描いたアートウォール

さて、最後に紹介いたしますのは、2020年4月、突如としてアメ村にあるホテル『EARTHMANS AMEMURA』の屋上に現れたカラフルでファニーなウォールアート。


この作品を描いたのは世界的に有名なスポーツブランドや人気ファッションブランドとのコラボ作品を世に送り出している新進気鋭のアーティスト『COIN PERKING DELIVERY』。

電車の移動時間が無駄な時間だと思い手元にあったスマートフォンを使い指で絵を描きだしたことによって2018年にクリエーション活動をスタートした同氏は、携帯という現代の必須アイテムを使い、この時代ならではの疑問や理想を作品として制作。現在ではデータのみならず造形、空間、ドローイング、海外ブランドの店舗内装アートディレクションや海外のパブリックスペースの外壁など幅広く活動しています。

そんなCOIN PERKING DELIVERYが【COLOR EXPLOSION】をテーマに、EARTHMANS AMEMURAの屋上にて、色彩の爆発を表現したアート作品をドロップしたわけなんですが、このオリジナル作品、実際に見られるのは宿泊者だけ。

こうなったらもう、泊まって見るしかないでしょ!
ぜひ、アメ村アートトリップの際のご宿泊はEARTHMANS AMEMURAへどうぞ。

馬場 裕一郎
馬場 裕一郎

長野県在住。出版社の編集を経てライターに。 自然豊かな場所で生活しているため、アウトドアやスローライフに関する記事に携わることが多いが、趣味はもっぱらマンガを読むこと、と比較的インドア派。 スマホには常時7つ以上のコミックアプリがインストールされている。