
【Travel Holic!#69】日本のブロードウェイ!?芸術の秋には劇場街・道頓堀へ
食い倒れの街として知られる大阪・道頓堀ですが、かつては日本のブロードウェイと呼ばれていたことを知っていますか?多くの劇場が集結していた道頓堀は、一流を目指す芸人にとって憧れの晴れ舞台だったんです。こちらでは、芸術の秋を楽しめる、劇場街・道頓堀についてご紹介いたします。
かつての道頓堀の姿
道頓堀川は「成安道頓」「安井九兵衛道ト」という2人の人物が、自然の川を運河として設備したことによって生まれました。
江戸時代に入ってすぐ、幕府の都市計画によって南船場にあった芝居小屋をここ道頓堀に移したことから劇場街として知られるようになり、芝居の本場として栄えることとなります。
現在も多くの人々で賑わう戎橋の南詰から東側に伸びる場所にあった浪花座・中座・角座・朝日座・弁天座という5つの劇場は道頓堀を代表する劇場群で、歌舞伎や軽演劇、人形浄瑠璃などが、その形態を超えて興行を競い合う場所でした。
当時の道頓堀には五座以外にも大小の劇場が立ち並び、NYのブロードウェイやロンドンのウエストエンドに匹敵するほどだったとも言われています。
現在では飲食店が多く立ち並んでいる道頓堀の北側ですが当時は茶屋が並んでおり、こちらは浜側と呼ばれていました。
食のメッカとしての現在の道頓堀の姿が誕生したのも、劇場街であった道頓堀へと多くの人々が足を運び繁盛していたことが理由となっているんですね。
道頓堀が世界に発信した技術
今やミュージカルや歌舞伎の舞台には欠かせない「廻り舞台」や「せり」はここ道頓堀で生まれた舞台機構なんです。
最初に使ったのは江戸時代中期の1758年で、角の芝居(のちの角座となる)です。
発案者は歌舞伎作者の「並木正三」という人物。歌舞伎作者と同時にからくり技術者でもあり、がんどう返しや宙返りなど、現在でも使用されている舞台機構の多くが並木正三考案のものとされています。
世界的に当たり前に使用されているこうした舞台機構は、日本の技術力と発想力によって支えられてきたのです。
道頓堀で演劇を楽しもう
中座をはじめ閉鎖された劇場もありますが、今でも人形浄瑠璃は道頓堀の東側にある国立文楽劇場で、歌舞伎は松竹座で開催されており、開演日には多くの観客で賑わっています。
特に松竹座はネオ・ルネッサンス様式であることが特徴的で、正面の大アーチはまさにみもの。建築物ファンからも評判が高く、大阪の顔として親しまれています。
歌舞伎を中心に様々なジャンルの舞台が毎月繰り広げられているので、ぜひ劇場に足を運んで本場の空気感を肌で感じてみてください。
道頓堀ミュージアム並木座
劇場都市・道頓堀の歴史を知りたいという方は、「道頓堀ミュージアム並木座」がおすすめ。2019年3月にオープンしたばかりのスポットで、歌舞伎や文楽など育んだ道頓堀400年の歴史を伝え、知的体験を通して道頓堀の歴史に触れられる博物館です。
まるで、江戸時代にタイムスリップしたかのような館内には、並木正三が発案した廻り舞台があり実際に体験することができたり、クイズなどを交えながら楽しく道頓堀の歴史を学べます。近隣劇場の案内や名所旧跡スポットの案内などもあり、芝居街としての道頓堀を深く知ることができますよ。
ミュージアム使用後、19:30からは劇場の使用もできるようなので、演劇を開催したいという方もチェックしてみてください。
INFORMATION
住所: 〒542-0083 大阪府大阪市中央区道頓堀1丁目1-6
営業時間:10:30~18:30
定休日:なし
まとめ
食のメッカである以前に演劇の本場として栄えていた道頓堀。古くから多くの人々で賑わう街であったことが分かりますね。世界的に使用されている舞台技法がここ道頓堀発祥というのにも驚かされます。
道頓堀といえば食べ歩きの街という印象がありますが、少し角度を変えて道頓堀の街並みを眺めることで、また違った道頓堀の魅力に触れることができますよ。
今年は食欲の秋のみならず、芸術の秋を楽しみに道頓堀を訪れてみてはいかがでしょうか。